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ナンハナリの台風被害

昨年発表された、最大級のヤセミドリイシ群集が広がるナンハナリ海域ですが、今年2011年、初夏の相次ぐ台風の直撃で、おおきなダメージを受けました。

どれくらいかというと、この画像が昨年秋までのナンハナリ。
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これが現在の同地点です。
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いきなり見ると皆言葉を失います。まぁ、よくもここまで破壊されたものだと。ヤセミドリイシの被覆度は、昨年と比べて9割減少、といったところです。
極端な水質の変化や汚染、大量の赤土流出や水温上昇といったマイナス要因は、この視の春から夏にかけて、大きな変化として見受けられませんでしたから、まず台風のうねりのせいだと思われます。

ここで不思議に思うのは、初夏に島を襲ったのと同等の規模で、うねりや進路傾向もほぼ同様の台風は、数年おきに来ているのですよ。たとえばトンバラは、水面付近から水深20mにかけて、きわめて広範囲、高被覆度でハナヤサイサンゴやヘラジカハナヤサイサンゴに覆われていますが、数年に1回、台風の直撃を受けて、それはそれは見事に更地と化します。でも3年もすれば、もう直径1mはあろうかというヘラジカハナヤサイサンゴばかりとなるのです。このように海が良ければサンゴの成長は、自分達が思うより遥かに早かったりする場合があります。
で、ナンハナリに話を戻して、港で色々聞いたこの海域の海人の話をまとめてみると、漁としては使っていない海域ではあったけれど、おおむねどの年代の人もそのサンゴ自体は見ており、いつの時代も多かれ少なかれ、群集は存在していたようなのです。
この話の示唆するところは、ヤセミドリイシも、自分達の想像以上に成長が早い可能性があるということではないかと。今夏の惨状を見て心を痛めましたが、同時にどのくらいの速さでこの群集が回復してゆくのか、観察したい気持ちがふつふつと沸きあがったのも正直なところです。この種は、まるで菌類が増殖するように、地を這うように枝を藪状に伸ばし、深い水深の曽根を単一林のように覆うのが特徴です。確かにもろく、折れやすくもあるけれど、なんか増えるのも速そうな…。

今日、調査にいってきました。3ヶ月弱経った今、海域はどのように変わっているでしょう。

ナンハナリの台風被害_a0060407_21515989.jpg

ヤセミドリイシは強かった。ぞくっとするくらいの速さと形で、早くも曽根を覆い始めていた。すごいなぁ。海は不思議だらけだ。わからないことはわからないって言えばいいし、そんなことが沢山あるっていいことだな。そう思った1本でした。

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by color-code | 2011-09-07 21:53 | ナンハナリ大群集・サンゴの話 | Comments(0)

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