スクープ! キンチャクガニの脱皮一部始終!
2013年 04月 29日
幸運にもその一部始終を観察できたので紹介します。甲殻類にとって身動きが取れない脱皮の時間は最も危険な時間帯ともいえます。当然、最速で終わらせなければなりませんし、彼ら自身もそのつもりのはずです。今回の脱皮は身動きを止めてから約7分間の出来事でした。
脱皮を始めるキンチャクガニは、まず安全なところを選び、そして停止します。体色は通常よりだいぶ薄く見えます。そして、唯一の防御兵器の手に持ったイソギンチャク(カニハサミイソギンチャクという和名です:笑)を、自分の頭上に掲げ、固定します。体長2cm程度の彼らにとっては、これが頭上を守る最も安全な防御姿勢かもしれませんね。そして動きを止めてからいきなり脱皮は始まりました、スタート!
-1分09秒経過- まず、頭がめくれてきます。もう眼は離れているのが見て取れます(ちなみに動きは可愛いのに目つきは石破さん並に剣呑)。
-2分15秒経過- 結構しんどそうです。ロクハンカブリがきつすぎて脱げない自分を思い出します。
-2分42秒経過- なかなか脱げません。僕のタイミングだと、苦しくてここで誰かに助けを求めて叫んでる時間。
-3分36秒経過- 脱げたぁ~! ふぅぅぅ。。。
-3分51秒経過- ウエットが、基、殻がきつすぎたのか、しばし放心状態。
-4分23秒経過- こうしてる場合じゃありません、大事なイソギンチャクを確保しないと危険だぁ~!
-5分48秒経過- わっせ、わっせ。
-6分13秒経過- 獲ったどぉぉ~!
-6分42秒経過- 脱皮コンプリート。お疲れ様でした。
なかなか手に汗にぎる現場に出くわし、十数年越しの夢のひとつをかなえる事ができました。あとは更なる大目標、彼らが持つカニハサミイソギンチャクを、持たれぬ状態のまま、単体で見つけることです。さぁ、いつになったら実現するかな?
-追記-
読者の方から脱皮の時はイソギンチャクを置いてからするのでは? との指摘をいただきました。今回のケースでは置いていません、持ったまま脱皮しています。自分の考えとしては、水槽などの外敵の居ない特殊な環境以外では、イソギンチャクは置かないのではないかと考えています。地面に置くことは、武器が離れる以前に、一度両手のイソギンチャクを手から剥がす必要があります。置く、ではなく、剥がす、という言い方をしたのですが、実はキンチャクガニは、イソギンチャクを持っているというよりは、ハサミの内側の棘で突き刺して、簡単には手放せないようにある意味、固定しています。水中写真はとかく眼にピントを合わせたものがいいという風潮があるため、この種のように、イソギンチャクを持つといった特徴のある生態がクローズアップされにくい現状にあります。しかしイソギンチャクと、ハサミ脚にピントをもってきて撮影すると、カニハサミイソギンチャクは、彼らに残酷と思えるほどに、深く串刺しにされているのがわかります。持たれたイソギンチャクのほとんどは、刺によって貫通しているのです。僕はこのイソギンチャクの大半が白いのは、彼らキンチャクガニに刺されながら生きながらえることによる、ストレスによる白化ではないかと考えています。何故なら極小、5mm以下の成長途中にあるキンチャクガニが持つカニハサミイソギンチャクは、意外にも茶色やブルー、イエローなど、色がついているのが多いのです。これは多くのイソギンチャクの白化の過程の色と類似しています。カニハサミイソギンチャクは元々は多くのイソギンチャクと同様、褐色であり、キンチャクガニの「生かさず殺さず」的な使用法によって成長とともに白化している可能性があるかもしれません。
話が逸れてしまいましたが、イソギンチャクを置き、脱皮してからまた持ち直す、という手法は二度手間になります。通常環境では抜け殻に持たせたまま脱皮する方が時間も短縮できるでしょうし、何より安全です。実際、殻を脱ぎ終わってからイソギンチャクを確保するまでには、僕が撮影しているという、最も危険な状況でさえ、3分弱かかっているのです。根元付近が傷ついているイソギンチャクへの負荷もおさえられますから、こちらを選択するほうが自然ではないでしょうか。
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