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CANON PowerShot SX280 HS 水中撮影レビュー

水中撮影で、高倍率ズーム機(10~20倍)を自分が使用しているのは理由があります。ハゼ、スズメダイ、ハナダイを数センチという運任せの距離ではなく、数十センチ~1mの距離を保って自由に撮れるからです。これはつい3年前までコンデジでは不可能でした。数センチの被写体を画面内に大きく捕らえるには、クロ-ズアップレンズを着けて、被写体から最低でも20センチ程度まで寄る必要があったからです。これでは多くのハゼ、スズメダイ等は逃げてしまいます。10倍以上のズーム機の登場で、ようやく撮影距離を適度に延長することが可能になりました。勿論良いことだけではありません。現在高倍率ズーム機が抱える弱点について説明すると、大きなものでふたつ挙げることができます。

1.高倍率撮影なので、非常に手振れしやすい。
2.ISO感度が通常400~1600での撮影になり、画像が荒れやすい。

さて、CANONが今春リリースしたPowerShot SX280HS、このふたつの弱点を新しい処理エンジン(DIGIC6)を投入することで大幅に改善しています。ブレは5軸で強力に補正し、その効果は画面を見ていてはっきりわかりますし、更に水中で多用するISO400の感度の画質が大幅に改善しました。今までこのクラスは感度が400以上になると、特に水の抜ける背景の部分などで上位機種との画質の差がはっきり出てしまっていたのですが、ようやく気にせず使える域まで来た感があります。ISO1600でも結構いい画なのには驚きました。
シャッターを切っていてもたつく感じがほとんどないのも高評価です。興味深いのは連射性能。HQ連射を使うと最高画質のまま、秒間十数コマの連射が可能。久米島だと冬場のクジラの撮影などでかなり重宝するでしょうし、定番の砂浜&ボートジャンプやマカンコウサッポウのスナップでも、もはやしくじることはないでしょう。

「基本仕様」
暗い場所やナイトでもターゲットライトが使える汎用型のセッティング。
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ストロボ2灯に換装すれば、1/250程度の速いシャッター&低感度でお気に入りの魚を美しく撮りたい人用の「ハナダイ/スズメダイ/ベラ仕様」に。また、ライトを2灯にすれば、自然光を使い、棚上の生態を高速連射したり、機種の一番の売りでもある動画機能を最大限使える「高速連射、動画撮影仕様」になります。


このカメラでハゼやスズメダイ、ベラの子供達を撮るなら、ぜひINON製のUCL-330を使用してみてください。光学ズームの最高倍率20倍とこのクローズアップレンズの組み合わせで、被写体まで約40cmの距離を保ったまま、等倍以上の撮影ができます。高級一眼レフ&100mmクラスのマクロレンズの組み合わせでのみ可能だった撮影が、この小さなシステムで安価(約1/4の価格)に出来ます。勿論、UCL-165の高倍率クローズアップレンズを組み合わせることで、2倍、3倍撮影の世界にもいけますよ。
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ヒオドシベラの幼魚が撮れる距離が確保できます。AFの効きも問題なし。
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比較的臆病なオドリハゼ。本当はバストアップ程度までいけるのを、敢えて全身を撮りました。ズームに余裕があるからこそ出来る選択枝です。4倍程度のズームレンズ機ではまず無理な距離です。

更に超コンパクトなワイドコンバージョンレンズ UWL-S100 ZM80があれば、広角撮影システムに水中で簡単に替えられます。このワイコンは絞って撮ることで解像感が上がる特性を持つ為、今まで画質が急激に落ち込む事がありましたが、新しい画像処理エンジンの恩恵で非常に快適な画質を獲得しています。
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JPG出力なので、太陽の光の周辺の処理が気になっていましたが、見事なグラデです。DIGIC6、すごいな。
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ストロボ2灯仕様で。明暗差があり、被写体の動きも速い構図ですが、とても素直な処理をしてくれました。

さて、検討されている方への選択枝ですが、もし基本的にワイコンを付けてワイド仕様で撮影、たまに気軽に小さなものも撮ってみる、というスタイルであれば、PowerShot S110など、この機種以上に優秀でコンパクトで高画質な機材がありますので、必ずしも視野にいれなくとも良いと思います。しかし高倍率ズーム機は別の捨てがたい魅力があります。特に外部ストロボ&外付けレンズの仕様を前提として撮影を考えているダイバーの方々には、有力な選択肢のひとつになるでしょう。BCにぶら下げられる程の大きさで、高倍率~超広角、HQ動画の撮影が出来、スマホ連携ですぐに発信できるWifi機能も完備しているのですから。ツアー時の重量制限や、SNSとの連携など、性能以外の細かい使い勝手を考えると総合点は上位機種と比べてもまったく引けをとらないものです。
蛇足になりますが連射機能、動画機能を有効に使いたい方は、記録メディアの性能にもご注意ください。最近はClas10という読み書き速度のものが主流になりましたが、実際の性能はメーカーによってさまざまです。個人的には東芝製のメディアが特に連射に強いように思いますので、動画や連射に興味のある方はご一考ください。

最後になりましたが、現在、これだけの機能と性能に、Wifi&GPSも付けて2万円台中盤で販売し、なおかつハウジングまで自社で開発しなくてはいけないという厳しいモノ作りの現実があります。メーカー側としては日本市場でほとんど旨みのない分野です。では何故最新鋭の画像処理エンジンを真っ先にここに投入するのか。大きな理由は次のステップ、APS、フルサイズのCMOSを備えたレンズ交換式のカメラの市場開拓の為でしょう。逆をいうならこのSH280 HS、この値段で最新の技術が投入される赤字覚悟の機材といえるかもしれません。幸いにも、ダイバーはこの恩恵を最大限に受けることができます。とにかく広角~望遠まで撮れて動画も撮れてSNS連携する、という現状スマホ、あるいはスマホ的なもの、に一番近い使い方が出来る撮影機材カテゴリーですから、良い方向に進化していって欲しいと願います。
ひとつだけ注文をいうなら、そろそろこのクラスにも、カスタムボタン、ダイヤルを設定してほしいですね。AUTO以外の撮影を数十種(?!) のシーンモードで選ばせる手間を考えたら、カスタム設定を3つ記憶してもらったほうが、ユーザー側としても、よほど気持ちいいのでは?

今期はこれがメイン機材になりそうです。

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by color-code | 2013-06-07 20:04 | 道具 | Comments(0)

沖縄は久米島にある小さなダイビングサービスです。


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