2013年の久米島のサンゴ白化状況
2013年 09月 11日
久米島の沿岸水深1~2m、現在(2013/9/10)。
この海域は真夏の2ヶ月間、干潮時や昼下がりには、数時間にわたって水温が30~33度であった。実はここは、2年前に3度にわたる台風の直撃を受け、ハマサンゴ達以外はほぼ壊滅といっていい打撃を受けている。2011年の8月、ここは真っ白の更地のようだったと言ってもいい。しかし数々の種のサンゴ達は時を経ず、あっという間にこの海域に侵入し、学術的に云われている標準的な成長速度とはかなりかけ離れた速さで成長した。久米島の潮通しの良い海域では、ハナヤサイサンゴやミドリイシの仲間が、時に年間50cmを超えるスピードで成長することは、海人も、自分達ダイバーも経験上知っている。
そして2年後の現在、台風ではなく、高海水温で再び壊滅の危機にある。
負荷のかかる環境にめっぽう強いハマサンゴがかなり弱っている。
その周りには、褐虫藻が出てしまった純白のミドリイシの仲間達が累々と並ぶ。わずか2年で直径が1mに達するまでに成長したものもいるが、もう手遅れの群体が多い。秋に訪れたダイバーの眼には、ここは廃墟と映るかもしれない。
見て頂きたい画像がもう1枚ある。自然のサイクルが崩壊しかかった場所から、立ったまま右に90度首を向けてみた視界がこれだ。これが、見える先まで続いているのだ。ここには滅びと再生が隣り合わせで、等しく存在している。
この光景は、繁栄と滅びは互いに遠いものではなく、むしろ隣り合っているという現実を突きつける。雲に届くような高層ビル群の袂に、巨大なスラム街が広がるように。しかしここにも希望の芽はあるのだ。それは視点の違いでもある。とあるダイバーには、ここは何もない荒涼とした地に見えるかもしれない、僕にとってここは、まぎれもなく希望の、奇跡の地だ。これを見ると、何度打ちのめされても、立ち上がる、やり直すチャンスは必ずあると身体が知る。そしてここだけではない、どこであろうとその場所は無数にあると、ここに立った事で感じた、そして信じられる。
僕たちが矛盾を抱えてもなお、海に入る理由。その大きなひとつがこれだ。これをスクーバタンクを背負って見にゆけるダイバーは、日本人だけでいえば数百人に1人。海が僕たちを見つけてくれたのだ。その出会いに本当に感謝している。
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