ナンハナリ -ヤセミドリイシ大群集定期調査-
2014年 09月 26日
2011年にこのような光景が数キロにわたって続いていたナンハナリ海域も。
同地点の現在。普通のダイバーから見れば荒れ果てた更地です。しかしここはヤセミドリイシという種の存亡を賭けた、目まぐるしい破壊と創造の挑戦の場でもあります。
定点観測用のいブイや鉄筋も基部から飛んでしまったものが多数あるので、一からまた打ち直します。水深30m以上に鉄筋を搬入し、ハンマーで岩に打ち付ける作業は時間もかかりますが、かなり身体に負担もかかるので、1日では終わりません。草原のようなヤセミドリイシに囲まれてする作業なら心も和むのですが、この廃墟のような光景の中、窒素を溜めながらハンマーをふるうのはさすがに堪えます。
観測地点ライン1の終点付近(水深30m)、曽根の岩盤にわずかながら生き残ったヤセミドリイシが、そのまま曽根を這うように枝を伸ばし始めています。骨格は非常に柔らかいので成長も早いので、このまま被害が無ければ2年で曽根をある程度覆うでしょう。
このように枝が何層にも積み重なるまでにおそらく7~10年と思われます。ミドリイシ類の成長速度としては驚異的ですが、激変するこの星の気象環境が、果たしてその時間を彼らに与えてくれるでしょうか。僕たちはただ見守り、自分たちに出来ることをするのみかといえばそうではないと思います。東南アジアの国々のトップが欧米、および先進国、新興国に「開発や豊かさのツケを、今東南アジアが国土や海洋資源の枯渇、消滅、年々加速度的に増える甚大な自然災害、という形で支払っている。」というメッセージを今、必死に送っています。恩恵を受け続けてきた私達は今、何かを共に考え、たとえ間に合わなくとも、些細な事でもいいから実行しなくてはいけません。
ナンハナリ海域のサンゴ群集の調査が、サンゴという生物の強さやしたたかさ、そして未来への希望を感じさせることにつながることを願い、今後も少しづつ活動を続けていきます。次会の報告では明るい話題から始められますように。
.............................................................................................................................................................colorcode記事はここまでとなります。これより下段↓は広告スペースとなります、ご了承くださいませ。