FUJIFILM XQ2 水中レビュー
FUJIフィルムといえばトータルヘルスケア企業へと舞台を移した感がありますが、現在でも水中写真のあの抜けるような青は、フジのリバーサルフィルム、ベルビア/プロビアの色がスタンダードだし、コンデジ分野でも、今でも語り草となっているF30という名機を作っている。発売から数年してなお中古市場が定価を上回るという現象を起こした非常にバランスのとれたカメラだったので、いまだ使用しているダイバーが居るくらいだ。僕もこのカメラで収めた多くの画像を今も大切に持っています。

そんなフジがキヤノンのハイエンドコンデジであるPowerShot Sシリーズにおそらく対抗して作ったであろうカメラが今回紹介するXQシリーズ
これがXQ2
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これがS120
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インスパイアで済まなそうな対抗意識がすごい(笑)。機種名と社名を入れ換えると間違えるんじゃないかくらいに似てます。CANONのSシリーズというのは僕も愛用していて、もうこのシリーズは熟成を重ねて完成されているので欠点がほぼ見つからないんですが、敢えていうならAF合焦の速さがここ数年、頭打ちになっていることと、水中モードでの撮影時、特に太陽と海の境界周辺の色域のばらつきがあること。でもそれは些細な事と思えるくらいに良くできた名機です。
ところがSONYのRxシリーズに勝とうと思ったのか最近、Sシリーズを打ち切りにしました。CANONもカメラメーカーじゃなくてIT企業なので色々あるのだと思いますが残念です。話をもどしてフジのコンデジのAF合焦の速さ、起動から撮影までのタイムラグの短さは、伝統的に速いです。XQ2も勿論そうで、AF合焦、すごく速い。あとCMOSもやはりこのメーカーの特徴で明暗差の激しい水中では大きなアドバンテージがあります。データだけでいうならCANONのPowerShot S120のAF速度を40%向上させて、CMOS面積を50%増しにして、ローパスフィルターレスにして偽色を減らし、大きさと重さは一緒のカメラがXQ2。都合がよすぎるくらいに良いとこ取りですが、これを買ってもらうくらいならミラーレス買ってレンズで儲けさせてよ、というのがメーカーの本音だろうし、当然SONYやCANONはその戦略です。ある意味FUJIだからこそ出来た鬼っ子のようなコンデジがXQ2なのかも。画素数も1200万画素、良く抑えた方です、なにより水中ワイド撮影でINONの開発担当の方が「このワイコンで最強クラスの相性」と言っていた通り、2/3型のCMOSとの相性がとてもいいらしい、いや、すごくいいらしい。これは気になる。 ただしかし何故か先代のXQ1から全然売れていない。レビューもほとんど黙殺に近いくらい無い。不遇のカメラであります。でもそういうのが僕はどうしても気になる…買うか。

XQ2とINONのワイドコンバージョンレンズ UWL-H100 28LD+ドームレンズユニットの組み合わせ。ケラレをクロップしても140度弱の超広角になります。
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2か月使って率直な感想、INONのワイコン装着、ノーストロボ仕様で使うなら、最少/最低コスト/最高画質。
陸上使いならCANON PowerShot Sシリーズと同等の使い勝手、陸上でフラッシュ使用時はこちらXQ2に軍配。

さて、本題の水中。曇天での水深10m、透明度も沖縄としては普通(25m)で下に見下ろす俯瞰の構図。
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コンデジにはシビアなコンディションですが、ウーマガイの棚上も、グルクンのドーム状のたまりも周辺部まで見事に解像していてちょっと驚いた。(AVオート f5.0 ISO200 -1.7補正)
このCMOSは、撮っている最中に実感できるくらいにダイナミックレンジが広い。他社の同等クラスがISO640まで上げないといけないような状況をISO200でなんとかこなすくらいの余裕があります。冬場や透明度がそれほど良くなく、ストロボが使いづらいような場面で強いと感じた。冬場の暗い海でのマンタやハンマーではとても助かる。

晴れの日に太陽を入れて。
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周辺部までしっかり解像。歪みがこの画角でも自然に感じます。ここらへんはINON社のワイコンとの相性がとてもよく出ています。空の部分の青の描写はいかにもフジらしい色。太陽と海の青の境界のなめらかさにCMOSの大きさの余裕を感じますね。

ぶっ飛ぶ被写体に低い透明度。
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根を覆い尽くすスカシテンジクダイ。観てるぶんには圧巻の光景ですが、ストロボを焚くとぶっ飛ぶし、浮遊物も多いので透明感も出ない、何気なく撮ると薄らぼんやりの絵になるなかなかに難しい被写体であり環境です。でも引きの絵でここまで描写してくれたら文句はありません。明暗差に強いFUJIらしさがよく出てます。


【良いところ】
ワイコン装着前提の撮影では片手BCぶら下げサイズでは最強クラスの画質。
AFで迷うことはほぼ無い、少なくともCANONのPowerShot-Sシリーズに比べて格段に上。
ダイナミックレンジが広く、明暗差のある水中撮影に有利。
フジフィルムの青はずっと健在。

【改善希望】(結構多いというのがFUJIのコンデジのお約束です…)
カスタム設定がズーム位置を記憶しないので、起動の度にクロップしなくてはいけない(ファームウェアで改善強く求めます)。そして上位機種でカスタム設定は最低二つは欲しいです、シーンモードとかのダイヤルはどう考えても不要でしょう。M/AV/TV/C1/C2/C3/AUTO、これでいいじゃないかと。
鏡胴部のコントロールリングにアクセスする為、防水プロテクターの接続リングが僅かに左側からカメラを押さざるを得ないので軸がほんの少しブレます。この為ハウジング側のアクセスリングの接合部を一部分だけカッターで削り取ってリングに干渉しない部分を作ってやる必要があります。これは最近多いコントロールリングが鏡胴にあるカメラのプロテクターの多くに当てはまる事でもあります。0.数ミリのズレですが、これが画像の周辺に結局大きな影響をだしますので5分で済みます、思い当たる方は工作してみてください、幅6mm程薄くカッターで削るだけで済みます。
外部ストロボとの調光の相性はいまひとつよろしくないので、TTLは当てにならない場合が多いです。逆に陸上においてのFUJIの内臓ストロボのフラッシュの効きのバランスは素晴らしい、水中専用に作ってるわけではないのでこれは仕方無しでしょう。
現像ソフトの使い勝手は相変わらず(すっごく)もっさり、かつ使いづらい。Adobeのソフトがあるならそちらを使った方がいいです。デジタルですから出口の現像処理まで気持ちよくさせて欲しい。ここらへんはCANONさんの方が全然上です。
ボディは必ず黒を選ぶこと。ハウジングのガラス面にボディの鏡胴部分が反射して画像に映り込みます、ブラックならそれを防げます。

【結論】乗り手を選ぶじゃじゃ馬なスーパーカー。道を選べば現状ぶっちぎり。
操作やバランス面で相変わらずのじゃじゃ馬ぶりが随所にあるのですが、ワイコンとの相性が最高なCMOS、この一点だけでも価値はあります。CANONがレクサスやメルセデスならこれはランボルギーニとかコルベット。評価グラフにするとトンデモない形状になってしまうけれど、突出部分がスゴイ奴です。なのでユーザーが使用環境を見極められることが前提です。
一番いいのは撮影は完全ワイドオンリーで大きなものは持ちたくない、でも画質にはこだわりたいし、悪条件でもモノにしたい。当然外部ストロボなんて邪魔なもの欲しくない! という人、例えば群れ・サメ・マンタ、これしかカメラ向けない、あとは自分の眼で見る! っていう普通の撮影知識のある人、アリです。CANONのPowerShot G7Xや、SONYのDSC-RX100M3を10万超えのハウジングに入れてシステム組むよりはこちらの方が1/3以下の費用で済みますし、外付けワイコンとの相性はむしろこちらのほうが上かも。
ハイエンドコンパクト機のセンサーは1型へと大型化してきていますが、どうしてもボディが大きくなってBCに吊るしておけるサイズでなくなってしまっています、AF速度もいまひとつ向上していないので、水中に入れる前提ではもうコスト的にも魅力的にもスマートフォンやタブレットに負けてゆくでしょう(そういった意味でDMC-CM1は是非売れてほしいですが)。今後はカメラ単体で考えるなら2/3型の素子で1000万画素、これで広角25mm~光学15倍のコンパクト機が出てくれれば水中撮影は手のひらサイズで全て解決するんです、世界的な市場で見ればコンデジに求められているのは高画質/高倍率ズーム機です、是非この方向性の一台が今後登場してほしいと願っています。個人的にはSONYに是非それをやってほしい。

最後になるがこのFUJIFILM XQ2、FUJIの良さが存分に出たいいカメラ。当分の間、INON社のワイコンと共に、水中でのよき相棒となってくれるはず。

【追記】
この記事の数日後CANON PowerShot G3 Xのリリース
があった。1型センサーに24-600mmの高倍率ズーム、しかも防塵/防滴。求められるスペックを全て満たしている。今後のハイエンドコンデジの主流となるカメラであることは間違いない。ズーム時に鏡胴がさすがに大きく伸びるのでワイコンとの相性と、マクロ/ワイドポートの交換等の使い勝手、どこまでコンパクトにハウジングを仕上げてSONYのα6000等のミラーレスとの差別化を図れるか等々、水中に持ち込むのはなかなかハードルが高いが気になる機種だ。



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by color-code | 2015-06-14 11:30 | 道具 | Comments(0)
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