海の声

昨年、桐谷健太が歌った「海の声」。歌詞にこんな一節がある。

海の声が知りたくて
君の声を探してる


少々脱線をお許しいただきたい。僕はダイビングガイドなのだけれど、仕事になくてはならない器材、スクーバが生まれたのは世界中がまだ悲惨な戦争に明け暮れた時代、生みの親のひとりが海洋科学者ジャック=イヴ・クストー。彼はこの夢の道具にアクアラング(Aqua-lung)という名を与えた。lungとは肺を意味する。つまり水中肺、大戦中らしい、実に実務的な命名だ。


なぜいきなり話がずれたかというと、片付け中の港のボート上で、何となしダイビングというものに思いを馳せていた時、遠くからかすかに海の声が流れてくるのを耳にして、不思議な想像が浮かんだから。

軍人で海洋学者で監督、発明家でもあったクストー。海に英知とロマンを求めた彼は、自身の手によって造り上げたアクアラングに、Aqua-lung(水中肺)に、心の中ではもしかしたら、Aqua-langue(海の言葉)という意味も込めていたのではないだろうか。

80年近く刻は経ち、アクアラングのおかげで人間は、海洋世界を自由に探求できる共通言語を得た。今日では数十万人のダイバーが毎日、世界中のどこかの海で海に出会い、学び、感動している。それこそ何よりの証明に思える。アクアラング(スクーバ器材)は、まさに海の言葉だ。事実は違うかもしれない。でも、生涯海に惹かれ続けた彼には、そんなロマンティックが溢れていただろうし、僕はそうであったら嬉しい。そう感じた瞬間から、今まで以上にダイビングが好きになった夕方だった。

明日は海の日。Aqua-langue(海の言葉)を駆って、海の声を聴きにいこう。

a0060407_06500588.jpg
.............................................................................................................................................................


[PR]
by color-code | 2017-07-16 06:50 | うみのいろはそらのいろ | Comments(0)
<< アオウミガメの椅子取りゲーム 水温30度超え >>