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クジラにとり憑かれて⑪ - 船が舳先を向ける先…① -

3回目の募集の時期を迎えた2005年の秋、ショップのサイトを通じて告知を行い、メールでの問い合わせに関しては、次のような案内文を添付した。正直大分凄みの効いた募集要項と受け取られかねない。そしてこの案内を送ったあと、「やっぱり私には辛そうなので、今回は見合わせます。」という回答もかなりの数頂いたのだった。結果論だが、改善点は多々あれど、よかったと思う。例に漏れず、姑の小言のような長文が続くが、読んでいただけると話が早い。


【以下募集要項】
今年もWW船のご案内をする季節となりました。下記参照頂き、冬のダイビングはもちろん、そしてクジラの興奮を再び味わっていただければと思います。さて、この島の冬のダイビング、通常のダイビングツアーで、移動の最中にクジラがいたら。というのが通常の観察形態です。ただ、1日中ホエールウォッチングをしたいのなら、特別に船が出ている期間があります。がしかし、あくまでうちのスタンスは、ダイビング、そしてクジラ、です。昨今各地でビジネスとして成立している、ホエールスイムとは、少々趣が違うものとご理解下さい。昨今、クジラの観察に対して社会情勢がきびしくなる風潮があり、沖縄の行政自体が動く可能性もありますので、規定が出来る可能性は否めません。ただ、私達としては、ずっと続けてきたとおり、今年もしたいと思っています。このような状況ですので、催行を確約できない状態での募集です。催行不可能な場合、直ぐにご連絡いたしますが、それ以外の責はどうかご容赦下さい。定員が少数ですので、もしご希望でしたら、早めの予約が良いと思います。定員は12名前後ですが、既に数席は、今年の冬から埋まっているからです。幅広く機会を提供したいという趣旨から、大人数のグループ様の週末にかけての乗船は、相談の上、人数制限をさせていただく可能性もあります。大変言いづらい事ばかりですが、お願いが数点ございます。

とりあえず、仮で予約しておいて、休暇が確定した時点で変更をする予約を入れることは、差し控えてください。昨年より、多数のゲストの方を、その仮の予約でお断りし、直前の変更により断られたゲストの方が、乗れたにも関わらず乗船出来なかった例が多数ありました。

この船は、クジラを観察する時間をより多くとる船であって、ホエールスイムといったものを主目的にする船ではありません。それはクジラのほうで決める問題ですから、まずこの点、ご確認下さい。スキンダイビングに関する保険等の保障に関する基準は国内で議論が殆どなされていません。つまり万が一に対しては、全く無力に近いのです。興奮状態にあっても自制心があり、確実なスキルのある方のみの乗船をお願いしています。冬の海域の平均波高は2.5-3mで、観察海域の水深は60m以上です。おぼれ、ブラックアウト等の深刻な事態では、救援が極めて困難です。簡単な話、私達のサポートがほぼ望めない状況だということです。船酔いによる嘔吐などは、高い波の日は、落水の危険をより高めます。カメラ・フィンなどの受け渡しも基本的に出来ませんし、ラダー無しでも船の低い場所から(和船タイプ)自力で駆け上がれる体力も必要です。高い波、低い気温と波飛沫、高い確率での雨天に、1日さらられても大丈夫と言い切れ、スキンダイビングに自信がある方のみ、ご予約下さい。

例年、近海に数十頭の主にザトウクジラが訪れます。港を出て5分のところに居る日もあれば、2時間以上の場所に集結する日もあります。ブロー間隔が数十分以上にわたり、視界ぎりぎりの場所でしか接近できない日もあれば、船を止めたまま、目の前で数十回にわたってブリーチングをする日もあれば、船の下数メートルを、ずっとついて来てくれる日もあり、と、その日によってクジラの気分は変わります。大荒れで逃げるように帰る日もありますし、1日探してブローひとつ発見できずに帰る日も勿論あります。接近を許してくれる個体のみが観察でき、更にそのうちの少数が、水中で観察する事を許してくれる、非常に稀で幸運な出来事を、数日間、広い心で待てる方に乗船いただきたいと思っています。ゲストの方には面と向かって言いづらいことですが、「3日間居ればまず見れますよね!」等の質問にお答えできる趣旨のツアーではありません。それでしたら慶良間諸島、あるいは他地域のWWの方が、はるかに高確率で、楽で格安に思いますので、そちらをお勧めいたします。残念ながら昨年から、本人ではなく、紹介でお連れ頂いたゲストの方に、この傾向が多く見受けられ、結果的に安全性を低下させる大きな一因となりました。これは本当に残念なことであるとともに、10年近く催行してきたこのツアーの趣旨自体を変えかねません。最も重要なのことは、たった一つの小さな事故は、この先の未来、私達の子孫に至るまでの、貴重なこの生物に遭遇する機会を奪いかねないということです。このような場合、予約を頂いていても、こちらで乗船をお断りせざるを得ません。ここばかりは、是非熟孝の上、申し込みください。   
                                                                【以上】


よく読めばあたりまえの事が書いてある。何一つ威圧していないし、厳しいことも言っていない・・・と言いたいが・・・なぜこのようなことを羅列したかというと理由がある。それは第2回、05年度の苦い反省からだ。実は昨年、こちらの説明不足が最大の原因なのだが、本当だったらケラマ、あるいはハワイでクジラを見たほうがまず間違いなく満足しそうな常連ゲストの「知人」、船に極端に弱い事を自覚せず、酔ったら帰港すると思い違いをしている人(落水しない限り帰らないのだが・・・)、多分60フィート以上はあるクルーザーかなにかに乗ると思っていたのだろうか、デニムに普通の靴など、あくまで普通に街着で乗り込む人(鳥羽一郎が似合う思いっきり和船なのだが・・・)、雨が降り、波しぶきが飛ぶ中、「もう帰ったほうがいいと思うんだねー光線」を周囲に向けて無差別に発射する根性の無い輩(夕方まで絶対帰ることはないのだが・・・)、更に既に場馴れしてきてしまって、ブリッジの中あたりでクジラが出るまで体力を温存しようとする人や、サポートは出来ない(敢えてしない)、と伝えてあるのに、船に自力で上がってこれる体力とスキルを持たぬまま海に入り、平然と手を差し出しサポートを受ける人(入ってはイケナイ人のはずであるが、本人は無意識にそれに気づく事を止めている)。あげくの果てに今日はダメだったねー、と、はずれ馬券を買ったの様に言い放つ人・・・。すぐ自分の隣の人にとっては、今日が最高の一日だったかもしれない事など、この当人は夢にも思わないし、そんな事を言っているうちは、彼らクジラ達は決してこちらに向かってきてはくれない事を、数年の経験からなんとはなしに感じている僕は、この類の人だけは一刻も早く下船し、もっと楽なタヒチやトンガ、いや、そうでなくと良い、隣のザトウクジラの楽園、なにより名実共に日本のホエールウォッチングのオピニオンリーダーである、ケラマ諸島に行く様、強く推奨したいのだが、このような人種を説得するのはその事情を問わず、時間がかかるものだ。正論が、時と場合によっては暴力になる事は、ままある。なぁなぁでいこうというのではない。閉ざされたきびしい環境での強い個性のせめぎ合い、その結果を心から楽しみたいだけだ、皆そうだと思う。そしてその場に参加する人は、最低限の心構えが必要だと、自分は数年かけて気がついたのだ。我ながら、つくづく鈍感だと思う。

とまぁ、話をもどしてとにかく、乗ったらまぁまず楽しめないだろうな、という人々が、結構な人数乗ってしまったのだ。笑い事ではない、当の本人にしてみたら、ものすごくしんどい思いをして、それこそ丸一日拷問を受けたあと、お金まで払うようなものだ。その気持ち、わからんでもないが、このような人々が思いっきり下げたテンションを無理やり上げねばならぬ周囲のゲストやスタッフは、クジラを探すという大目的の他に、本来一番持ち込んではならない、人間関係(出たっ!)にまで非常に気を遣う事態寸前までいった。このような精神環境では、トピックスは、当然産まれてこない。だから今回の募集は、まず真っ先に環境としてはとっても辛く、スカもままある船です、という(これはこれで事実だから仕方ない)事を積極的に訴えかけ、間違えて(?)乗ってしまうゲストを未然に防ぐ作戦に出たのだ。そしてこれはある程度功を奏した。しかしそれは、私達のゲストの選別というやってはならないことをする、ということを意味する。そして、3回目を迎えた2006年、新しい波がやってきた。



                    - この回、写真は文章の内容に沿う適当な写真がありません、すみません -
Commented by ぷぴ at 2006-03-16 17:08 x
>この回、写真は文章の内容に沿う適当な写真がありません
あ~れぇ~。こんな時こそ「ダースベーダー」の写真を載せていただきたかったわん。ホホホ。
弘法も筆を誤る・・・。猿も木から落ちる・・・。ダースベーダーも居眠りをする・・・(痛っ) ごめんなさい。ーー;
来年は絶対に居眠りなんてしないわっ! 出港から入港まで、ずーっとハイテンションで頑張るわっ!(←大迷惑)
Commented by hama at 2006-03-16 17:09 x
ま、鯨船だけではないけど・・ナゼかそういうとこ(甘え)はあるんだよね?
自分のことはチョット分らんけど・・・(有ったら言ってね)
ダイビングでも夏のトンバラで、見かけるタイプの人種だね?ウェイトは6㌔で!はぁ?その体格で6㌔?そんなに要らないと言われても6㌔・・・譲らない・・・で殆ど全てのそういう人は「沈まないんだもん!」もうこの言葉を聞くのは嫌なんだけど・・・今日もある意味暴言です!あのな、沈んじゃダメなんだよ!沈みたかったら6㌔なんてみみっちぃ事言わんで20㌔位付けて行きやがれ!沈めるぞ!ダイビングは潜るんだ!沈むと潜るは違うんだよ!
Commented by ぷぴ at 2006-03-16 17:37 x
ひゃー。ハマさん!! す、すみません!ぷぴ20㌔付けさせていただきます!(T-T)ゝ ビシっ
Commented by ぷかぷか at 2006-03-16 20:52 x
ダースベーダーの居眠りzzz楽しませていただきました!(笑)
笑い(^o^)取れたから◎ってことで。

初めて撮った親子クジラは、豪快の「今年も彼らが帰ってくる」?「クジラの魔性」?どっちかしら?
コレクターとしては、記録しておかなくっちゃなのー。
Commented by color-code at 2006-03-17 06:12
今回は、「」を多用して、ちょっと言い訳がましくなってます、こういう物言いは良くないと思いますが、あまりに愚痴っぽいの、敢えて使用させていただきました。申し訳ございません。ちなみにストレスためてるわけでも疲れてるのでもありませんからご心配なく^^  これがガイドの常態ですから~。

ぷぴさん、ダースベイダーの画像くださいよ、UPしたいです。少なくとも、ぷぴさんの行動は、WW船には無くてはならない要素です、そう思ってますよ。

hamaさん、おっしゃるとおり。でもいえないサービスのその姿勢を今こそ正すべきですね。

ぷかぷかさん、魔性の方ですよ~。



この回の続きは明日UPしますが、写真どうしよう・・・・苦笑。
by color-code | 2006-03-16 15:23 | クジラ・イルカ | Comments(5)

沖縄は久米島にある小さなダイビングサービスです。


by color-code