カテゴリ:サフィリナに魅せられて( 5 )
光学迷彩起動中
せいぜい数ミリのサフィリナがこのように隠匿モードに入ってしまうと撮影はお手上げに。液晶ではほぼ見えず、超集中のくじ引きに近い感覚でシャッターを切ることになります。
a0060407_8424150.jpg

しかし成功するとこのように透過した外殻の内側の内部器官も映り込んで、メタリックな原色の洪水のような普段の姿からはかなり違った印象に。これはこれで奥ゆかしさがあって好きです。

撮影はLED光源のみ。黄色味がかかっているのはLEDメーカーの性質によるもので、ホワイトバランスをAUTOでなくしっかり設定すればクリアな色味になるのですが、少し黄色に振った方が年代物の和紙のような背景になってくれて、掛軸のような雰囲気になるのでジャパピグやシムランスなどの、小さすぎて背景が大きく余る被写体でもたまに使います。クリムトっぽくしたいんですよ、FF世代だし(笑)。こんな感じで浮遊系が面白い季節になりました。運よく撮れたらまた紹介したいと思います。

.............................................................................................................................................................colorcode記事はここまでとなります。これより下段↓は広告スペースとなります、ご了承くださいませ。
[PR]
by color-code | 2016-03-12 08:48 | サフィリナに魅せられて | Comments(0)
サフィリナに魅せられて-世界はハニカムでできているかもしれない-
人間は様々なものを作る。飛行機やビル、車に港。そんな時に求められるのは、とりあえず可能な限り頑丈に、使用する素材は少なく(軽く)、出来上がった時に利用できる空間は広いほうが望ましい。といった相反するように思える条件だ。
壊れにくいし安価に製造出来、広く使えること。それを求めてゆくうえで非常に有効なのが正六角形を組み合わせた形(ハニカム)で、現在は人間社会のたとえば車両や航空機、遮音性や断熱が求められる各種ドアや衛星などなど、多くの場面でハニカム構造が利用されている。この構造は都合のいいことに遮音性と断熱性も高いので、今後建材にも急速に普及してゆくだろう。

この教科書はいつもながら自然界にある。雪の結晶や鉱石、久米島の畳石、蜂の巣はもちろん昆虫の複眼、亀の甲羅もそうだ。
a0060407_1749328.jpg

a0060407_17491328.jpg

海の生き物もカンザシヤドカリやモンハナシャコ、フリソデエビやキンチャクガニだって、皆眼がハニカム構造になっている。
a0060407_17493954.jpg

a0060407_17495059.jpg

ハニカムの奥にさらに小さなハニカムが。もう曼荼羅の世界。
a0060407_1750117.jpg

a0060407_17501178.jpg

a0060407_17503214.jpg

a0060407_1750551.jpg

ヒトデの表皮やサンゴのポリプの形にも正六角形は使われる。
a0060407_1751559.jpg

a0060407_1751146.jpg

どちらかというと六芒星に似ているサンゴのポリプ。
a0060407_18241619.jpg

a0060407_18242864.jpg

海洋生物の中でみられるハニカムのなかで最も魅力的なもののひとつが、カイアシ類のサフィリナの外殻だろう。
a0060407_17512818.jpg

皮殻は緻密な何層ものハニカム構造で構成され、受けた光を様々な色で乱反射する。人間に見えない紫外光を反射するため時に透明でもあり、多種多様な色に変化する。
a0060407_17515447.jpg

a0060407_1752553.jpg

引用:東京大学大気海洋研究所 国際連携研究センター
関連論文:Chae and Nishida, 1994. Integumental ultrastructure and color patterns in the iridescent copepods of the family Sapphirinidae (Calanoida: Phaennidae). Marine Biology 119: 205-210.

一番上のハニカムが見える。これが幾層にも重なって皮殻を構成している。
a0060407_17522571.jpg

a0060407_17523494.jpg

美しく乱反射する皮殻。透過光をよく観察すると、層状になっていることを想定させる影が浮かび上がってきた。
a0060407_17525175.jpg

a0060407_1753238.jpg

このサフィリナが瞬間で消え、そして現れ、オーロラのように光を変えてゆくさまは本当に息を呑む美しさだ。
a0060407_17531790.jpg

自然界にあるこの不思議な暗号に昔の人間も古代から気づき、神聖で力のある形として敬意をもって接してきた。正六角形は六芒星でもあるのだが、歴史のさまざまな時代で先人達もそれを知っており、あのダヴィンチコードでも書かれたように、レオナルド・ダヴィンチもその形と数値の真理を熟知したうえであの有名な人体図を描いている。沖縄博物館で見た琉球王朝の最高神女、聞得大君の衣装の胸の真ん中にもそれはあった。
a0060407_17564715.jpg

しかし意図的に道具や建材、乗り物に利用しはじめた歴史は意外と浅く、第二次世界大戦後かららしい。用途はもちろん、軍用から始まった。最先端は新素材、カーボンナノチューブ。これは炭素原子がハニカム結合したシート状のものが更に筒状になったもので、が鋼鉄の数十倍の強度を持つ。そしてQカーボンへと続いてゆく。こうして次々と革新的な技術は続いてゆくのだけれど、基本的には世界の中のあるものを再発見しているのが人間の科学技術というものなのだ。私たちは今、この世界の神秘への敬意がすこしだけ不足しているかもしれない。

ところで海洋生物だけではない。人間の皮膚もまた、サフィリナの皮殻と同様に多面体の多層構造をしている。そんな馬鹿な、と思う方は様々な化粧品メーカーのサイトをご覧になってほしい。既に引用させていただいたサフィリナの皮殻の顕微鏡写真と積層構造の図表が、化粧品メーカーの美容液の効能解説の図表と酷似していることに驚くだろう。僕も今まで漠然と見ていて見落としていたのだけれど、サフィリナを見だしてから今更ハッと気が付いた。
健康な人の角質細胞はゆがみのないハニカム状で、水分を良好に保持し、きめ細かく滑らかで、ゆえに様々な細菌やファンデーションなどの毒に対しても強い耐久性を獲得している。
なんだか化粧品メーカーの回し者のような話になってしまったが、世界はまだまだ六角形の不思議で満ちている。明日はどんなハニカムが見れるだろう。しかしまずはこのささくれだった自分の肌をなんとかしないと…。
[PR]
by color-code | 2015-12-03 18:02 | サフィリナに魅せられて | Comments(0)
サフィリナに魅せられて-色の氾濫-
海の宝石、わずか数ミリのサフィリナは、光を透過する透明なハニカム状の積層構造の外殻を持つ。
幾層にもなるその正六角形の板が微妙に角度を変え、ある部分は紫外光を反射し人間には見えなくなり、ある部分はあらゆる色へと変化する。
a0060407_16192039.jpg

時に彼らはこのように完全に姿を現すこともある。まるで黄金の棺だ。
a0060407_16193045.jpg

フォーカスアウトして色だけをだしてみる。
a0060407_1619506.jpg

あまりに複雑な構造なので、とても数ミリには見えない。右上の暗い部分にハニカム構造の表面部分が確認できる。

.............................................................................................................................................................colorcode記事はここまでとなります。これより下段↓は広告スペースとなります、ご了承くださいませ。
[PR]
by color-code | 2015-11-16 16:21 | サフィリナに魅せられて | Comments(0)
サフィリナに魅せられて-全長2mmの宇宙戦艦-
うねりが強すぎで棚が使えないので、ここんとこグルクンとサフィリナばかり(この生物の簡単な概要についてはこちら)を追っかけていた。僕はどちらかといえばプカプカ派だし、棚に入らず外に居るおかげでマンタやイソマグロ、マダラトビエイ達にも出会いやすい。うねりに身を任せていると海の力を感じてゾゾっともするし、そんな風にダイビングを楽しんでいこうと思っています。

個人的にお気に入りの一枚。
a0060407_2211333.jpg

2mmしかないけれど、なんか数キロあるようにも見える。ほとんど夜景というか、こんな宇宙戦艦あってもおかしくないビジュアル。これが色が揺らいだ後、一瞬で視界から消えさるからスゴイ、というか、撮るのマジで大変です。


.............................................................................................................................................................colorcode記事はここまでとなります。これより下段↓は広告スペースとなります、ご了承くださいませ。
[PR]
by color-code | 2015-10-19 22:01 | サフィリナに魅せられて | Comments(0)
サフィリナに魅せられて-海の宝石-
古来、黒潮の恵みで生きる日本の漁師はサフィリナを玉水と呼び、その美しい虹彩に豊漁の兆しを見た。

カイアシ類という極小の生物が居る。人間の眼で見ることのできる最小サイズに近い2~4mmの、copepoda(コペポーダ)とも言われる海の生態系を支える重要な生物群のなかのひとつだ。
Sapphirinaという属名の通り、どの種も宝石のように美しい。潮の通る外海の水深10~20mの中層で、キラッと青く輝く光を見たなら、それがSapphirinaである。そのスペルはまさにサファイヤの事であり、数十種が知られている。その後に続く種名もmetallina(メターリナ)であったり、opalina(オパーリナ)であったりとゴージャスだ。

小難しくなったけれど僕としては、サファイヤのオパーリナ! サファイヤのメターリナ!! と、海の中で見つける度に叫ぶだけで、何か魔法が起こる気にさせてくれるその語感が好きだ。そう、指し棒を振ってエクスペクト・パトローナムを唱えたり、バハムートを召喚するように。
a0060407_8243662.jpg

Sapphirina gemma(?)と思われる個体。体長3mm。皮殻は緻密な何層ものハニカム構造になっていて、受けた光を様々な色で乱反射する。故に透明でもあり、多種多様な色に変化する。
a0060407_824484.jpg

数秒後に撮影した同じ個体。プレシャス・オパールのような虹彩に思わず息をのむ。
a0060407_8245927.jpg

そして更に同じ個体、瞬間的に透明になってもう肉眼では捉えられない状態。皮殻の内側の内部器官が透過して見えている。

ところでこのサフィリナ、何故一瞬で視界から消えることが出来るのかということについて今年、ワイツマン科学研究所の研究チームがある論文を出した。この複雑な構造の皮殻が外から受けた光を反射し、角度によっては人間には見えない波長の光(紫外光)を反射させることによって(私達人間からみると)見えなくなるという事が判明したらしい。そういえばずっと追い続けていて、眼ではすぐに視界から消えるのに、液晶から見ていると不思議と色を保っていることが多い気がしてきた。気のせいかもしれないけれど、これは何か重要なことを示唆しているかもしれないのでちょっと心に留めておこう。

つまりこの皮殻の構造を分析、応用研究することで非常に軽量の、そしてハニカムの多層構造なだけに強靭な光学迷彩アーマーが出来上がってしまう可能性がある。調査研究にはいつの時代も費用がかかるもので、この研究所がイスラエルにあることといい、背後の軍産複合体の影がちらつく話題でもあった。最近小耳に挟んだ話だが、アンボイナ貝の強毒についての研究に資金を出しているのもこの国経由だそうだ。僕たちはもう、彼らの紡ぐ美しい虹彩と透明感を眺めて、驚嘆の声をあげるだけでは済まさない、実入りを求めずにはいられない、そんな欲深い生物になってしまったのかもしれない。命が繋いできた不思議で美しい造形や構造は今、命を無意味に、無差別に奪う争いの道具にこぞって利用されている。

僕に出来るのは当面、サッフィーリナ!! メッタァーリナ!! と叫びながら海中でこの美しい宝石をわいわい皆で眺めることくらいだ。そしてそのくらいがいいと思う。撮影自体が奇跡の1枚に近い難度なので、画像ストックがなかなか増えず、末永く楽しめるのもサフィリナの魅力のひとつだ。

.............................................................................................................................................................colorcode記事はここまでとなります。これより下段↓は広告スペースとなります、ご了承くださいませ。
[PR]
by color-code | 2015-09-27 08:34 | サフィリナに魅せられて | Comments(0)