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クジラにとり憑かれて⑥ - 番外編 -

例年より多く、クジラは日本の浜にストライディングを繰り返した2006年初頭。
対馬沖にて、過去にも数回起こってきた、大型の鯨類との船舶衝突事故が再び起こる
事故当時からかなり話題にはなっていたので、昨年から注視していたが、今回で日本のメディアも本腰で報道を開始した。同胞の怪我の心配か、鯨類の保護か、それとも韓国との航路確保優先か、築きあげた技術を捨て利便性を落とすのか・・・議論の四つ巴だ。

僕の勝手な考えで想像してもいいなら(blogだ、許して欲しい)、巡航状態の高速艇が水中に接触している面積は、自分達の予想以上に少ないはずだ。常に水中に接している水中翼等の部分は、おそらく20フィート級、50馬力以下の船外機を積んだ小さな小船が左右に一隻分づつ、後部エンジン部分が40フィート級の船程度か。いずれも彼ら大型の鯨類にしてみれば、とるに足らない自分より小さい、あるいは同等の大きさにすぎない。同時に問題は時速70キロ前後の船足だろう。この速度は、たかだか40フィート程度の軽量のグラスファイバー船に200馬力クラスのエンジンを2発積んで、燃費の劣悪さを完全無視してフルスロットルでベタ凪のパラオの海を疾走するあの有名な幾多のダイビングサービスの船達よりも、それよりも更に速いのだ。しかもベタ凪ではない、常時2m前後の波が砕け散る大きな音が反響する冬の対馬沖。この状況は、ブローをしに浮上してくる彼らにしてみたら、いかに聴力、その他の機能が私達より遥かに進歩していたとしても、すこし間違ったら回避は困難ではないだろうかと僕は思う。そのくらいにこの船はあまりに自然の摂理からいったらその大きさに対して速すぎ、水中に没している体積はあまりに少ないのではないだろうか。更に空想を加えるのなら、この海域の水中は今現在、世界中でも最も軍事的に緊張の高まっている海域のひとつではなかったか。水中はそれはそれは様々な音波で満ち、そして多様な形状のと大きさの鉄の塊も、クジラと同様に多数生息していることだろう。

この船は、水中でクジラが嫌がる音波を発生するという、名前からしてかなりエグい装置を多額の資金を投入して装着していたにも関わらず、衝突は再び起こってしまったのだが、実は水中で、鯨類の疑似音を人工的に発することは、ホエールウォッチングの行為の中では最もマナーに反する行為のひとつだ。若干話はずれるが数年前、在沖の軍の潜水艦に搭載された強力な高性能アクティブソナーの弊害として、ケラマや本島、そしてこちらへのクジラへの悪影響が出る可能性については各メディアでもかなり心配されていた。では今回、あたり屋のようにぶつけておいて障害物扱いとは如何に。片や重大な保護規定違反、片や膨大投資をして装着したが骨折り損と嘆く・・・ところ変わって都合も変ればなんとも対照的な彼らクジラ達の扱いではあるが、あきれるわけにはいかない、この節操の無い変わり身の速さが、私達の類稀なる才能なのだろうから。

でも・・・

保護の為に、地球の為に・・・
彼らへのストレスの軽減の為に・・・
彼らの生活を侵さないために・・・
それが私達の未来へと・・・

そんな諸々、所詮は人にとって思いっきり都合のいい自己満足。
んなら最初からそんなに気取って言わなきゃいいのになぁ、格好わる・・・



もしクジラならね、おまえ悪いけどさ、よける練習しようよ、ね? した方がいいよ。 
じゃないと僕達なんて、すぐにでも害獣にして君達を撃ち出すと思うんだ、きっと。
その時、僕はそれを止められないと思うよ。

だから・・・よけてくれ。
Commented by hama at 2006-03-07 09:03 x
暴言を一つ。
その昔、同じ鯨類のイルカがその憂き目に逢った時期がある・・・漁の邪魔になる、折角囲んで網の方に魚を追い込んでいる時横からやってきてパクパク喰って、魚を散らす・・・間違って網にかかったイルカには死が与えられた・・・それさえも面倒な人という高慢な生き物は、騒音を立て彼らを追い出しに・・・「イルカの為」という凄い一方的な親切でメディアをかわし・・・海は人の物なのか?・・・そのくせ彼らを捕まえて「餌が欲しかったら言う事を聞け!」とジャンプを強要する・・・これは御飯が欲しかったら水深XXmまで潜って来い!とそこらの人に言うのと何が違うのか?矛盾だらけさ・・・俺もその人の一人だし、野山を削った道路という便利なトコを時速100㌔で何時間も走るし・・・対処はそっちでやれよ!人の言い分って結局そんなもん・・・ホントに人は頭がいいのだろうか?その迷惑極まりない動物のエゴを上手くかわして生きている野生の方がよっぽど頭がイイような気がするのは俺だけだろうか?
Commented by ぷぴ at 2006-03-07 09:54 x
>この船はあまりに自然の摂理からいったらその大きさに対して速すぎ、水中に没している体積はあまりに少ないのではないだろうか

そうなんだよね。速すぎるんだよねぇ・・・。はー、困った問題だねぇ。心が痛いよ・・・。(TT)
むしろ、クジラでないものと衝突した!ってほうが救われるような気がする。
でもねぇ、人間同士の争いに結果として巻き込まれていくのが動植物なんだなぁって思うと、やっぱり凹む。すごく凹む・・・。
Commented by color-code at 2006-03-07 18:20
hamaさん:
久々にすっきりとした正論を聞きましたね。賛成票を一票です。
こういった事を言わないで、思慮深さとか、優しさらしく見せてクジラ達が可哀想といいながら、人の心配も欠かさない物言いをする人が多すぎますよ。そしてその類の言動は、自己満足ですから決して何も変えないし、むしろ現状をより強固にするだけでしょう。

自分が今回言いたかったのは、そんな声数十億で言ってみても、自己満足(自分に向かって言ってるだけ)なんだから変わんないじゃん何も、という事と、僕がこの事故で一番優先しなければならないのは、乗船していた人間の妊婦だということ、そしてそれは今の思考や装置では解決しないということです。

F-1のスペックで妊婦乗せて、公道300kでスピーカーで大音響で避けなさい~! と流しながら人を轢いたら・・・まず正すべきは自明でしょう。


Commented by color-code at 2006-03-07 18:20
ぷぴさん:そうですね、でも上に書きましたが、それに尽きますよ、速過ぎる。 でもクジラでないものだったらダメでしょう。水中に居る不明な人工物なら相場が決まってます、今頃クジラ一頭では済まないですよ。それに人間も多少錯乱してはいますが知的で豪快な動物じゃないですか、僕はいつもそう思ってますよっ!
by color-code | 2006-03-07 07:45 | クジラ・イルカ | Comments(4)

沖縄は久米島にある小さなダイビングサービスです。


by color-code