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dejavu


久米島本島より数キロ離れたハーガイ(浅瀬)に錨を下ろしました。
美しい砂紋の水路を抜けると水面から水底に至るまで、それはそれは見事な漁場。
無数のシチュー(イスズミ)やゲンナー(ブダイ)達が視界を遮って群れ集っています。

バラスの水底と岩場を更に100mほど泳ぎ進んだとき・・・
ふいに視界に現れたのは、視界を覆いつくすリュウキュウキッカの大群生でした。
これほど見事に育った群生・・・タイトルの如く、十数年前程、時空が歪んでしまったかのような少し背がざわつく感覚を久方ぶりに味わったのです。

いや・・・・これは過去ではなく、未来の久米島なのかもしれない。



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同じ場所で潜り、たとえ同じコースで潜ったとしても、海人とファンダイバーとが、それぞれそこに観る光景はかなり違います。誤解を恐れずにいうならたとえば、多くのファンダイバーはガレ場や多様なサンゴの生息する場所、そしてギンポ、カエルウオが豊富な水深数mの豊かな棚上を、安全停止というマージンと共に獲得しています。がしかし、そこから数十m先の、外海に面した潮通しの良い潮間帯の少なからずを視界から失ってしまっています。

海人にとっても、その逆があるでしょう。
たとえそれが遊ぶ、と、糧を得るという大きな、決定的な違いであったとしても。

しかし・・・あたり一面、そこだけがリュウキュウキッカで覆われた海域があった・・・久米島に。
この夏の夜遅くにその第一報を私に届けてくれ、そして一緒に行ってみようと声をかけてくれたのは、友人の海人でした・・・見てくれと。

誰にとっても、どんな事柄でも、それは前から知っていた、そのような語りはもうこの時代に意味をなしません、心を揺らさない。この光景が今であるのか、過去か、それとも未来なのか・・・誰かが決めることではありませんから・・・この友人は、海人でありながら、同時に自分達すら失いかけていたなにかしらを持ち続けていた、それ故にここにたどり着き、見ることができたのだと僕は確信しています。

ありがとう。久米島の未来へ旅をすることができた一日でした。
Commented by le-co at 2008-10-05 21:59 x
こんな光景があったことが、それが遠いところではなく。
距離じゃなくて心のなかの近いところにあったことが、なんだか嬉しい。
Commented by hama at 2008-10-05 23:04 x
おおお!そうなんだよな~、全てを知っているような錯覚・・・ホンの狭い範囲しか知らないのに・・・海を知ってるのか?と言われれば・・・知らないと言うしかない位、海は広いほんとに広い!どの位かと問われても・・・答えられない・・・その広い海の命がどこかで広がっているそれを見てきた人がいる、それだけでもいいね!!
Commented by colorcode at 2008-10-06 06:45 x
le-coさん:僕もうれしいです。そのうちいけるようにするかもしれませんし、また他の思わぬ場所で、これと同じことが起こっているでしょう。その前に、それを利用して生業する人間の側の変化がどうしても必要だと思います。

hamaさん:ここ一帯は、圧倒的であるとともに、郷愁を感じるような、不思議な気持ちにさせる場所でした。これからいろんなことをこの場所から教えてもらうつもりです。 
Commented at 2008-10-06 19:59 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by ぷかぷか at 2008-10-07 21:05 x
わぉ。見事!
以前からリュウキュウキッカサンゴが大好きです!
すごいものを見つけた時って、まず最初にそれを一番見せたい人のことが頭に浮かびますよね。海人さんとあつおさんのつながりも素敵ですね!
Commented by r.tori at 2008-10-08 15:33 x
広い海
まだまだ、知らない所がいっぱいですね。
そんな広い海で、素晴らしい場所を見付けられ、
そこにいる事ができる。
神様からのプレゼントだね。
Commented by colorcode at 2008-10-09 07:00 x
ぷかぷかさん:ここのキッカサンゴは枝ぶりも見事でした。すごかったです。友人とも話しましたが、訪れてもいいようにダイバー側の意識が育つまで、ゆっくりみまもってもいいのではないかと思っています。

r.toriさん:はい、しらないことばかりです。10年居ても、きっと30年居ても知らないことはなくならないばかりか更に増えてゆくのでしょうね。自分自身、また訪れたいと願っています。きっとまた違った発見があるでしょう。

Commented by NOBO at 2008-10-17 12:02 x
これは、鳥肌もんですね!!!

海外でもこれほどの規模は、よほど僻地へ行かんとみれないでしょう。。。

それが久米島に存在する!ミラクルです。

良いもの見せてもらいました。
Commented by colorcode at 2008-10-17 13:30 x
NOBOさん:コメントありがとうございます。この貴重なサンゴが水面付近の高い海水温から守られたのは理由があるんです。それを海人は経験から知っていました。

この海域は海人がスーハヤと呼ぶ非常に速く、複雑な潮流が入る漁場です。その潮流がこの貴重なサンゴを守り、そして意識の低いダイバーを危険に陥れるでしょう。諸刃の剣なんです。そしてなによりここでファンダイバーが入ることは、海人がその間、漁ができなくなります。

まだまだダイバーの意識は低いのです、このままではおそらくすぐに蹂躙されてしまいます。先日もこのブログを発表した直後にとあるサービスがアンカーを打っていたと、友人の海人から聞き及びました。正直激しく不安です。。。。

Commented by hama at 2008-10-20 13:02 x
マジでアンカー?・・・何考えてるんだ?サイテー!
Commented by colorcode at 2008-10-20 22:06 x
hamaさん:こういった遺産は、誰かが発見したり、開拓するものではなく、贈られたものです。驕らず、謙虚に海人、ダイバー問わず皆が行けばいい。そうなってほしいとおもいます。

by color-code | 2008-10-05 17:43 | うみのいろはそらのいろ | Comments(11)

沖縄は久米島にある小さなダイビングサービスです。


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