dejavu
2008年 10月 05日
久米島本島より数キロ離れたハーガイ(浅瀬)に錨を下ろしました。
美しい砂紋の水路を抜けると水面から水底に至るまで、それはそれは見事な漁場。
無数のシチュー(イスズミ)やゲンナー(ブダイ)達が視界を遮って群れ集っています。
バラスの水底と岩場を更に100mほど泳ぎ進んだとき・・・
ふいに視界に現れたのは、視界を覆いつくすリュウキュウキッカの大群生でした。
これほど見事に育った群生・・・タイトルの如く、十数年前程、時空が歪んでしまったかのような少し背がざわつく感覚を久方ぶりに味わったのです。
いや・・・・これは過去ではなく、未来の久米島なのかもしれない。
同じ場所で潜り、たとえ同じコースで潜ったとしても、海人とファンダイバーとが、それぞれそこに観る光景はかなり違います。誤解を恐れずにいうならたとえば、多くのファンダイバーはガレ場や多様なサンゴの生息する場所、そしてギンポ、カエルウオが豊富な水深数mの豊かな棚上を、安全停止というマージンと共に獲得しています。がしかし、そこから数十m先の、外海に面した潮通しの良い潮間帯の少なからずを視界から失ってしまっています。
海人にとっても、その逆があるでしょう。
たとえそれが遊ぶ、と、糧を得るという大きな、決定的な違いであったとしても。
しかし・・・あたり一面、そこだけがリュウキュウキッカで覆われた海域があった・・・久米島に。
この夏の夜遅くにその第一報を私に届けてくれ、そして一緒に行ってみようと声をかけてくれたのは、友人の海人でした・・・見てくれと。
誰にとっても、どんな事柄でも、それは前から知っていた、そのような語りはもうこの時代に意味をなしません、心を揺らさない。この光景が今であるのか、過去か、それとも未来なのか・・・誰かが決めることではありませんから・・・この友人は、海人でありながら、同時に自分達すら失いかけていたなにかしらを持ち続けていた、それ故にここにたどり着き、見ることができたのだと僕は確信しています。
ありがとう。久米島の未来へ旅をすることができた一日でした。
距離じゃなくて心のなかの近いところにあったことが、なんだか嬉しい。
hamaさん:ここ一帯は、圧倒的であるとともに、郷愁を感じるような、不思議な気持ちにさせる場所でした。これからいろんなことをこの場所から教えてもらうつもりです。
r.toriさん:はい、しらないことばかりです。10年居ても、きっと30年居ても知らないことはなくならないばかりか更に増えてゆくのでしょうね。自分自身、また訪れたいと願っています。きっとまた違った発見があるでしょう。
この海域は海人がスーハヤと呼ぶ非常に速く、複雑な潮流が入る漁場です。その潮流がこの貴重なサンゴを守り、そして意識の低いダイバーを危険に陥れるでしょう。諸刃の剣なんです。そしてなによりここでファンダイバーが入ることは、海人がその間、漁ができなくなります。
まだまだダイバーの意識は低いのです、このままではおそらくすぐに蹂躙されてしまいます。先日もこのブログを発表した直後にとあるサービスがアンカーを打っていたと、友人の海人から聞き及びました。正直激しく不安です。。。。